先日、東京の上野にある国立科学博物館に行ってきました。
前々から、行きたいと思っていたのですが、なかなか行くことができずにいました。
今回、たまたま東京に行く用事ができたので、その際に時間を取って行くことにしました。
常設展示だけでも、日本館と地球館の2つの建物で行われていて、ゆっくりと見て回ろうとすると一日では時間が足りないぐらいです。
そのうえに、期間限定での企画展と特別展もあって、全部見て回ろうとすると、到底一日では時間が足りません。
個人的には、楽しすぎて、すっかりとハマってしまい、定期的に行くつもりでいます。
ですので、この国立科学博物館についても、機会があれば書きたいと思います。
今回は、この国立科学博物館で現在館長を務めておられる篠田謙一さんの書かれた「人類の起源」という本についての紹介です。
篠田さんの専門は分子人類学であり、この本は、古代DNA研究の最新の成果に基づいて人類の起源をたどるという内容になっています。

この「人類の起源」については、出版されて間もないころに入手して読んでいました。
実はこの本をきっかけにして、国立科学博物館についても知り、行きたいと思っていたのです。
この本より前に「サピエンス全史」を読了していたのですが、この「サピエンス全史」は歴史学的、哲学的な視点から書かれており、内容的に「それはどうなのかな?」と思うところもありました。
これに対し、この本は古代DNA研究の成果という客観的な裏付けに基づいて書かれており、そのような疑問を感じることはありませんでした。しかも、平易な文書で書かれているうえ、「日本列島集団の起源」という自分にとって身近に感じられる内容の章も設けられていて、とても読み易くて面白いと感じました。
国立科学博物館に行ったのをきっかけに、今、この「人類の起源」を読み返しているところです。
この本をはじめて読んだとき、自分が学生時代に学んだ人類の進化についての内容が、その後の研究でこれほどまでに変わってきていることに驚きました。
自分が学んだ内容は、猿人→原人→旧人→ホモサ・ピエンス(新人)と段階的に進化してきたというものでした。
なので、旧人に分類されるネアンデルタール人が私たちホモ・サピエンスと一時期共生をしていて、そのうえ交雑があり、現在の我々にもネアンデルタール人の遺伝子が数%含まれているということを初めて知ったときには、まさに青天の霹靂でした。
その昔は、人類の進化については、主として発掘された人骨を比較することで行われていました。
その後、人骨に含まれるDNAの分析ができるようになりましたが、当初は人骨のミトコンドリアDNAの分析しかできませんでした。
それが、ほんの約19年前に、核のDNA解析ができるようになり、それまでより大量の遺伝子情報が解読されるようなりました。
その結果、古代DNA研究は、日進月歩の時代を迎えました。
このように日々技術が進歩しており、新しい発見もされるため現在の定説もいつ覆るかわからないそうです。
難しい内容はさておき、個人的には、「私たちは何者なのか?」「私たちはどこから来たのか?」といった「人間とは何か?」に関わるテーマには興味があります。
同様に、興味を持たれている方も多いのではないかと思います。
この本は、そういった興味に、現時点での研究成果に基づいて応えてくれる内容になっていますので、まだ読んでおられない方にはお勧めの一冊です。
「人類の起源」篠田謙一著
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