冬から春へと季節が移り変わりました。
今年の春は、初夏のような暑さの日もあり、例年とは少し違った趣です。
個人的には、季節の移り変わりの中でも、この冬から春への移り変わりが最も大きな変化のように感じます。
それまで寒くて控え気味だった生命活動が暖かくなるにつれ一気に動き出す、そんな感じでしょうか。
リタイアする前も、通勤時などに徐々に暖かくなっていくのは感じていましたし、周りの風景が変わっていくのも目には入っていました。
休みの日には、お花見などにも行っていたので、季節が移り変わっているのは分かってはいました。
ただ、言葉で表現するのは難しいのですが、季節の移り変わりを知覚して反応していただけで、本当に感じてはいなかったように思います。

そのように思うのは、リタイアしてから、季節の移り変わりを目に入る風景だけではなく、心や肌でも感じるようになったからです。
まずは毎朝の散歩や外出時、目に入る風景に意識が向くようになりました。
リタイア前には、目には入っていても、何か考え事をしていたりして、意識は向いていませんでした。
そして、それによって日々のわずかな変化にも気付くようになりました。刻一刻と自然は変化しているのだということが分かりました。
今年は例年より遅く、3月に入ってから梅の花が開花し始めました。そして、満開を迎え、散っていきました。
これより少し遅れて、早咲きの河津桜が開花し、3月下旬ころには満開を迎えました。
そして、4月に入ると、ソメイヨシノが開花し始め、4月の中旬ころまで目を楽しませてくれました。
気がつくと4月も下旬になり、いつの間にか藤の花やツツジの花が満開になってました。
こういった変化をピーポイントではなく、日々目にしていると、その都度ウキウキしたりがっかりしたりと、嬉しさ、楽しさ、切なさ、儚さ、寂しさなどの色々な感情が自然と心にわいてきます。
また風景だけではなく、日々の空気感の変化を肌で感じるようになりました。
気温の変化や体に当たる風が冷たい風から少し暖かい風に変わっていくというようなものだけでなく、それらも含めた全体としての空気感の変化です。
冬には、なにかしらピンと張り詰めた緊張感の中で冷たい空気に満たされていた空間が、その緊張感が溶けていくように、色々なものが徐々に緩んでいき、冷たかった空気に少しずつ暖かい空気が混ざりはじめ、気がつけば優しくて柔らかな空間に包まれるようになっていたというような、非常に感覚的なものです。
たぶん、自分の言う空気感の変化といったものは、このように非常に感覚的なものなので、人によって異なるものなのだろうと思います。
なので、上記のような感覚は、自分だけの個人的なものなのだと思います。
少なくとも自分は、同じように風景を見ていたり、その風景の中にいても、ただこれらを知覚しているだけでは、こういった感覚までは得られませんでした。
自分の場合には、リタイアしたのち、時間と心の余裕ができたことで、それまで鈍っていた感覚が少しずつ研ぎ澄まされ、このように感じることができるようなってきたのだと思います。
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